危機センサーは働いていますか?

新型コロナウィルスの世界的な感染拡大に端を発し、私たちは健康面そして経済面において危険な状況に陥りました。

そんな中、世界中の国や企業が警戒するのと同じようなレベルで、私達も家計が危機的状況に陥らないか、ひとりひとりが自分の「センサー」を働かせる必要があるように感じています。

         「影響はありません」の裏側は・・・

新型コロナ禍発生以降、「新型コロナによる影響はありませんか?」

一部には大変困った事態に陥っている方もおられますが、大方は「今のところ私たちには影響は無いですね」と返答をされ、その回答自体は大変良い事実ではあります。

ただ一歩し突っ込んで状況を聞いていくと、その「影響ない」という言葉は薄氷の上にあると感じる事が多いです。

新型コロナ感染のリスクを極力避けながら個々に仕事を継続するという意味では、リモートワーク等の活用が広がりつつあるため出社できない事への影響は少なくなり、今のところ毎月振込まれる給与や今回の夏のボーナスなど収入面を含め目立った変化は起こってはいません。

しかし、経済の専門家と言われる多くの学者や研究者たちが経済の先行きについてどうなるか予測できていないだけでなく、個別の企業においても今期の売上や利益がどれくらいになるかを見通せていないところが大変多い状況です。

そしてそれぞれの勤務先で業務をこなしている皆さん自身も、担当している業種・業界・事業に限ったとしても、今後の需要動向や収益計画についてハッキリ分かって行動できている人はほとんどいないのではないでしょうか?

そのためか「今は影響ない」と断言する方の中にも、「早ければ冬のボーナスあたりから影響が出そう・・・」という声も聴こえてきました。

         良くも悪くも守られる環境

テレビやネットで報道される通り新型コロナの感染拡大は継続し、世界経済においては歴史ある企業の倒産や大規模な一時解雇などの積重ねが倒産件数や失業率という数値的な結果に表れ始め、企業と個人の脆弱な層を中心に大きな影響が出ています。

特に医療現場・飲食・航空・観光産業など一部の社会機能と産業は、具体的な打開策もないまま常に危機的状況と隣り合わせの状態が続いています。

一方、日本のサラリーマンの多くは現時点では雇用が守られ、世界の株式市場は3月の急速な下落も短期間で収束しその後も価格的に安定していることもあり、世の中は感染への注意を払いつつも “新たな日常” に対応し普通に生活を送っている様にも見えます。

これは世界中が早期のワクチン開発に奔走している状況への大きな期待の反映でもありますが、新型コロナパンデミックの初期対応として各国政府が実施したなりふり構わぬ資金供給も功を奏し、その資金を元に各企業の雇用環境を守ろうとする必死の努力に他なりません。

日本型社会に根差した雇用の維持を優先する文化によって、ある意味では期待通りに守られているという状況なのかもしれません。

しかし、売上が激減し利益が上がらない中で給与の保障を続けた場合、国からの補填や潤沢な内部留保があると言われる日本企業であってもいつかは尽きます。

守られている中でこそ、明日は我が身という意識を常に持ち、事前に危機のシグナルを察知できそうなセンサーを備えつつ常に働かせておいた方が良いでしょう。

例えば上場企業であれば自社の株価の動き、中小企業であれば社長や出入り業者の動きの変化、そして自身の進める業務上の目標との乖離状況などは仕事をしながらでも見れますし、家庭の主婦であれば働くご主人の帰宅時やリモート会議後の様子などです。

過度に恐怖し委縮すると言うより、収入変動によるダメージを和らげつつ前向きに近い将来を想定する切っ掛けとして使うのが良いと考えます。

         個人の家計にも察知するセンサーを!

今回の新型コロナ禍で世界中が直面したように、個人の家計においても収入が激減するような危機的な場面では変化が大きいためほとんどの場合は察知する事が出来ます。

一方、収入は変わっていないのに支出が増大している場合や、将来に想定外の出来事が起こる場合は気付きにくいものです。

その状態かどうかを発見するために、各家庭の家計の状況を預金通帳記載の残高推移や正確な手取金額等の数値として把握できるものを使って確認し、収支状況の検証を行う際に、自身の感覚的な支出規模とデータが示す数値とのズレに驚かれるケースが多いように見受けられます。

原因は様々で、毎月使っているにもかかわらず給与やボーナスによって補填される仕組みが当たり前になっており、そもそも使っている規模を見誤っている事も多々あります。

さらにその状況を悪化させる支出の伸びは、家族の人数が増えた場合や住宅購入など分かりやすい変化がある場合は本人も理解しやすいのですが、同じ生活環境下で年齢や交友関係や職場環境の変化など間接的な影響で徐々に変わってくる場合もあり、このケースでは本人も理由が分からない場合があります。

しかし、外出外食の頻度やネットショッピングの回数そしてクレジットカードの請求金額の推移など、変化を察知できる痕跡がどこかに見つかる場合がほとんどです。

自分自身の生活の仕方などから、どこにその傾向が出やすいか知っておき、平常値がどのレベルか分かっていれば、自分の家計がまずい状況に移行していっていないか自分自身で感じることができ、家計や資産状況が痛む前に対処しなくてはいけないことに気が付けるようになるでしょう。

あなたの人生の危機を察知するセンサーは何ですか?
そしてそのセンサーはちゃんと働いていますか?

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